大手ソフトウェア企業ClickUp(クリックアップ)は、職場におけるAIの日常的な利用実態を明らかにし、AIツールの有効性を把握するために、世界中の1,000人以上の知識労働者を対象に調査を実施した。この調査では、AIツールへの投資額と実際のビジネスへの影響との間に大きなギャップがあることが明らかになった。AI支出が130%増加したにもかかわらず、80%の組織がAI投資による全社的な具体的な収益効果はないと回答している。調査では、この乖離はテクノロジー自体に起因するものではなく、むしろツールの過負荷と人材の無秩序な増加につながる、事後対応的で恐怖に駆られた戦略に起因することが示唆されている。
急速に進化するテクノロジー業界から取り残されることへの恐怖から、新しいAIツールの導入に執着する傾向が強まっている。しかし、これは往々にして「AIスプロール」、つまり個々のツールは強力であるものの、チームのコア業務領域の共有コンテキストが欠如した、分断されたエコシステムを生み出すことになる。こうした社内の混乱は今や公になりつつあり、SalesforceやAtlassianといった大手ソフトウェア企業が、サードパーティー製ツールによる機密データや業務コンテキスト情報へのアクセスを制限またはブロックし始めている。
調査では、AI戦略を非常に効果的かつ高ROIと評価しているチームはわずか7.2%にとどまっていることが明らかになった。企業が数十ものAIツールに投資しているにもかかわらず、従業員の91%が週に1~4個のAIツールしか使っていない。さらに、過去1年間に導入したAIツールを既に放棄しているチームは44.8%に上る。しかしながら、AIを統合したユーザーは、日常的に継続的に使う可能性が2.78倍高くなる。これは、コンテキストに基づいた統合AIが、導入率とユーザー満足度を劇的に向上させることを示唆している。
この調査では、コンテキストスイッチの問題も浮き彫りになった。労働者のほぼ半数が、単一のタスクを完了するために2つ以上のAIツールを行き来せざるを得ない状況だ。これは生産性を低下させるだけでなく、コンプライアンスリスクや混乱も生み出す。調査では、労働者の79.3%が、AIによる作業負荷が成果物の価値に比べて不釣り合いに高いと感じていると回答している。この作業負荷と価値のミスマッチをほとんど経験していないと回答した人はわずか21.7%だった。これは、複数のAIツールを使うことによる認知負荷によって、手作業が簡単に感じられてしまい、AIの使用自体を敬遠してしまうケースが多いことを示している。
ClickUpでは、AIスプロールの問題に対するソリューションとして、ClickUp Brainをリリースしている。一般的な AIアシスタントとは異なり、ClickUp Brainは以下を実現する。
・組織の特定のコンテキストと用語を学習する
・既存のワークフロー内で動作する(ツールの切り替えは不要)
・単一のプラットフォームから全作業領域にAI機能を提供
・導入率を2.78倍に高める統合を実現
ClickUp Brainのユーザーは、
・完全統合率が2.26倍向上
・39.1%が完全統合を達成(他のツールでは17.3%)
・27.1%はAIのフラストレーションをほとんど経験していない
・83%がツール統合に安堵感を表明(非使用者では13.5%)
といった効果を実現しているという。
ClickUpの調査は、雑務をなくすというAIの使用目的が、スプロール化によって台なしになっていることを示している。AIの断片化に不満を抱く労働者が、ツールの使用を拒否し、投資を放棄し、統合を切望しているのに対し、成功を収めている少数の企業には、深く統合された「コンテキストAI」という共通の特徴がある。AIの価値は、多くのツールを持つことからではなく、適切なツールを持つことから生まれる。ClickUpの調査は、適切なツールとは、作業コンテキストを理解し、ワークフローと統合し、時間の経過とともに価値が高まるツールだ、と結んでいる。
出典:ClickUp
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