PagerDuty(ページャーデューティー)が2025年下半期の大型アップデートを発表した。16年間にわたりインシデント管理の分野で先頭を走り続けてきた同社は、現在32,000社以上の企業から信頼を得ている。今回のリリースでは、顧客からの要望に応える形で、より高い柔軟性、より多くの自動化、より豊富な統合を実現する150以上の新機能を提供する。
スケジューリング機能が大幅に刷新された。新しいFlexible Shiftsは、従来のレイヤーの複雑さを完全に排除し、繰り返しシフトのための直感的なユーザー体験を導入している。この機能により、シフトごとの複数担当者対応やバックアップカバレッジのサポート、Googleカレンダーなどとの連携によるPTOの競合検出、スケジューリングのギャップやコンフリクトの明確な可視化が可能になる。さらに注目すべきは、Shiftエージェントの登場だ。この機能は休暇や有給休暇によるオンコール調整を自動化し、Googleカレンダーの不在情報を含めて競合を自動検出する。連続非番日数やタイムゾーンなどを考慮して最適なメンバーを提案し、チャット経由でスムーズに引き継ぎを進められる。
インシデント管理機能も大きく強化されている。解決時の必須フィールド機能により、インシデントがクローズされる前に重要なデータが確実にキャプチャーされるようになった。最もリクエストの多かった機能の一つであるインシデントの再オープン機能も実装され、「解決済み」が本当に解決済みではない場合に対応できる。また、長時間実行されているインシデントでユーザーを再エンゲージするためのレスポンダーへの再通知機能も追加された。セキュリティー面では、OAuth2対応Webhooksが導入され、エンタープライズグレードのセキュリティとより簡単な資格情報管理が実現している。ServiceNowやJira Serverの統合も強化され、最新の業界標準認証に対応した。
PagerDutyの真の強みは、インシデント管理の基本的な作業を改善するだけでなく、インシデントが起きる前から対応している最中、そして解決した後まで、全ての段階でAIエージェントと自動化の仕組みを活用している点にある。16年間にわたって蓄積してきた運用のノウハウと、インシデント対応のそれぞれの段階で活躍する専門的なAIエージェントの組み合わせは、他社にはない独自の価値を提供する。
Scribeエージェントは、ZoomコールをSlackとMicrosoft Teamsのインシデントチャットにリアルタイムで自動的に文字起こしする。トランスクリプトとチャットの会話を組み合わせて構造化された要約とステータス更新を起草し、対応中や事後レビューで重要な詳細が失われることを防ぐ。SREエージェントは、基本的なインシデントインサイトの提供にとどまらず、包括的なエンドツーエンドのインシデント自動化を提供する。診断の実行、主要なコンテキストの表示、分析の提供、修復アクションの提案を行い、承認時にこれらのアクションを自動的に実行できる。さらに、全てのインシデントから学習し、将来の使用のためのスマートプレイブックを生成する。Insightsエージェントは、過去のインシデントとアカウント構成に関する質問に回答し、運用レジリエンスを構築するためのプロアクティブな推奨事項を提供する。チームはこれらの推奨事項に対して直接アクションを実行し、潜在的な問題を先取りできる。
開発者体験の向上にも力を入れている。Model Context Protocol Server統合により、IDEコパイロットとAIエージェントをPagerDutyのインシデントとサービスデータに直接接続し、カスタム統合作業なしでシームレスな自動化と対応ワークフローを可能にする。GleanやLogz.ioといったAIエコシステムパートナーとの連携も拡大している。Spotify for Backstage統合は強化され、高度なイベントエンリッチメント、改善されたサービスヘルスモニタリング、依存関係の可視化を含む、より深いインサイトとより堅牢な機能を提供する。SlackとMicrosoft Teamsのチャットネイティブ体験も改善され、より高速な構成、使いやすさの向上、AI優先のワークフローを実現した。さらに、WhatsAppも通知チャネルとして利用可能になり、グローバルチームのコミュニケーションオプションが拡大した。
これらの機能は、既存のシステムやツールをそのまま活かしながら働く。エンジニアが毎回同じような作業を繰り返さなくて済むように自動化し、さらに将来起きそうな問題を事前に見つけて教えてくれる賢い分析機能も備えている。PagerDutyのAIエージェントは同じデータ基盤の上で動いているため、インシデント対応を継続的に改善しながら、エンジニアがより創造的な仕事に時間を使えるようになる。これは、個別の問題だけを解決する単発のツールをいくつも使うのとは根本的に異なるアプローチだ。
出典:PagerDuty
この製品の詳細については、PagerDuty製品ページをご覧ください。