Smartsheet(スマートシート)は2026年11月4日、年次カスタマーコンファレンス「ENGAGE 2026」において、組織の戦略目標と現場の実行結果との間に生じる乖離「実行ドリフト(execution drift)」を解消するための大規模な新プラットフォーム機能を発表した。独自の調査において「作業割り当て時点で戦略的意図が正確に保たれている」と回答した企業幹部がわずか4%にとどまり、重大な意思決定の35%が陳腐化した情報に基づいて行われ、48%のプロジェクトが納期遅延に陥っている現状を踏まえ、人とAIエージェント、外部システムを横断して業務を統制・実行する「Execution Hub」としての新アーキテクチャーが提示された。あわせて、実行のずれをリアルタイムに検知するAIネイティブ新製品「vsActual」の公開や、AIエージェント群、各種システム統合、大規模プロジェクト統括基盤、エンタープライズセキュリティー機能が多数導入されている。
[特化型AIエージェントとエージェント型ワークフロー]
日常的な状況確認やフォローアップ業務をAIが自動で引き受け、チームが重要意思決定に専念できる環境を提供する。
・エージェント型ワークフロー(提供開始):週次の進捗要約やリスク・依存関係の点検といった定型業務を、自律実行される定期タスクに変換。期日超過や阻害要因を検知し、問題が深刻化する前に担当者へ自動配信する。
・作成エージェント(Creation Agent):自然言語による指示から、シート、ダッシュボード、レポート、自動化ワークフローを含むプロジェクト構造一式を数分で自動構築する。
・データ品質エージェント(Data Quality Agent):オンデマンドまたはスケジュール実行でシートを検査し、担当者未設定の是正措置や更新が滞っている期日など、業務停滞を招く不備を重要度別にフラグ付けする。
・Smart Assistの進化:モバイル端末に対応し、20年の業務知見を構造化した「Execution Graph」を基盤に状況を推論。ボトルネックの要因特定や修正案の提示を行い、実行前に必ず確認を求める。なお、顧客データが第三者の基盤モデルの学習に利用されることはない。
[外部AIツール連携とシステム統合の拡充]
データ分断によるシャドーAIの発生を防ぎ、既存の基盤システムと連携して人とAIが同一コンテキストを共有できるようにする。
・Smartsheet MCP Server:Claude、ChatGPT、Microsoft Copilot、Google Gemini、Amazon Quickなどの主要AIツールから、80以上のツールを介してSmartsheetを直接操作可能にする。各ユーザーに設定された既存のアクセス権限が厳格に継承され、閲覧権限のないデータにはAIもアクセスできない。
・ネイティブ統合(提供開始):ServiceNow、Microsoft Dynamics 365、HubSpot、Workdayとの自動同期に対応。ServiceNowのインシデントをプロジェクト上のリスクとして即座に反映可能で、Enterpriseプラン以上では無制限のワークフローが提供される(今後QuickBooksなどの追加を予定)。
・統合エージェント(早期アクセス):GitHub、Zendesk、Airtable、Monday.comを対象に、自然言語で指示するだけで外部システムのデータを取り込む接続を自動構成する。
[PMOおよび業務運用の標準化基盤]
拠点の増加や組織拡大に伴うプロセスの形骸化・分岐を防ぐ機能が実装された。
・Advanced Portfolios:50から5,000に及ぶプロジェクトを単一テンプレートから統括。「Publish changes」機能により、テンプレートの改訂(列、シート、自動化、ダッシュボードなどの追加・変更)を稼働中の全プロジェクトインスタンスへ1ステップで一括反映する。ポートフォリオ全体の進捗や予算を一元把握できるPortfolio Summaryも備える。
・Agentic PMO:4週間で本番稼働が可能なAI搭載型の統合ポートフォリオソリューション。レポート上は順調に見えて実態が危険な「スイカ型プロジェクト」の検知や、予算異常の検出を行う特化エージェントを内包する。
・シナリオプランニング(Scenario Planning):本番データに影響を与えることなく、キャパシティーやスケジュールのWhat-ifシミュレーションを実施。ClaudeやCopilot上からも直接シミュレーションを実行できる。
・シート規模の拡大:Enterpriseプラン向けオプトインにより、最大100万セル、10万行のデータ規模に対応。また、入力の不整合を防ぐ連動型ドロップダウン(早期アクセス)や、作業標準書をシートと同一ワークスペース内に保持するMarkdownファイル対応が予告された。
[セキュリティー統制・ガバナンスと国際認証]
IBMの『2026年データ侵害のコストに関する調査』で侵害組織の68%がAIガバナンスを未導入であった実態に対し、厳格な制御機能が提供される。
・国際認証・政府基準の達成:責任あるAI管理システムの国際規格「ISO/IEC 42001」認証を取得。さらに、オーストラリア政府の情報セキュリティーマニュアル(ISM)に基づく「IRAP評価(OFFICIAL: Sensitiveレベル)」を完了した。
・Smartsheet Safeguardの強化:管理者が「一般」「機密」「保護対象医療情報(PHI)」などの機密性ラベルを定義して監査証跡を記録する「データ分類」機能を提供。DLPやCASBツールと連携するAPIも備えるほか、外部流出を防ぐデータ送出制限(公開、印刷、エクスポート、別名保存の制御)や自動保持ポリシーを実装。
・セキュリティーイベントストリーミング(提供開始):200種類以上の監査イベントを、SplunkやMicrosoft SentinelなどのSIEMツールへ準リアルタイムで直接配信する。
・AI Managementと統制機能:管理者がAI機能やコネクタの有効・無効を機能単位で制御し、変更履歴を完全に記録。全ユーザーを一元管理するUnified User Managementや、放置資産の一括再割り当て機能、業務別・部門別の「AIクレジット利用状況レポート(ベータ版)」が提供される。
・今後のロードマップ:2027年に向け、管理者権限の細分化(Seat、Security、Dataの各管理者に分離)、IdP経由でのAIツール認証、7日間の操作を追跡するアプリ内グローバル監査ログ(人間とAIの操作を分離表示)、エージェント固有のアイデンティティー付与などを予定している。
[AIネイティブ新製品:vsActual]
戦略目標と日々の実業務の乖離を是正するため、優先事項に対する進捗をリアルタイムに可視化し、修正可能な初期段階で実行のずれを特定するAIネイティブの計画・実行製品「vsActual」が正式発表された。
出典:Smartsheet
この製品の詳細については、Smartsheet製品ページをご覧ください。